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出現する頻度が落ちないという事は、捕らわれる事が無いという自信の現れだろうか?
だとするのなら随分な自信家だ。
それにそれなりの実力もあると思われる。
まぁ、なんにせよだ。
気をつけるに越したことは無い。
ファイとエル以外は。
か弱い乙女を自称する少女達は特に、気を付けないといけないだろう。
「ま、お前たちも一応は護身術とかも、覚えているんだから、大丈夫だとは思うんだけどな」
最後にヴァンはこう付け足した。
ファイから言わせたら全く足りないのだが。
この程度では、精々盾が限界だろう、とファイは見ている。
あくまで、相手がそれなりの実力を持っていると仮定しての話だが。
其処らの弱い不良風情には、十分有効だろうが。
ホームルームが終わると、生徒達は真っ先にお嬢様のもとへと向かう。
彼らの仕事の内容には、荷物持ちも含まれている。
従者として、当たり前の事であるので、誰も文句を言いはしないが、ファイだけは違う。
「ファイ、荷物を持ちなさい」
「嫌です。少しは自分で持って下さいな」
下校途中、見回りついでに周辺を探索している二人だ。
「貴方も少しは従者としての自覚を持ったらどうなのですか」
やれやれと溜息を吐きながら、エルは呟く。
「だったら、貴方は少しでも主人らしく居て下さいな」
箒に腰かけたエルを見上げてファイは言う。
「私は十分にお嬢様をしているつもりですが?」
「それでよくいいますね。普通に歩いてください」
「何度も言うように、これが私にとって正しいのよ」
「それじゃあ、餌にすらならないじゃ無いですか」
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