いつもの日常

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夏休みも終わり、もうじきに秋になろうかという今日この頃。 夏という季節はもう過ぎ去ったはずなのに、まだまだ残暑は厳しく、日差しが鋭く肌に突き刺さる。 まだまだ、夏を感じさせる今日この頃である。 そんな日差しを背負いながら、二人の少年は今日も懲りずに屋上で、言い争いをしていた。 いや、言い争いをしているというよりも、屋上でサボっていた少年に説教をしている、といった所だろう。 語気を荒らげて怒鳴りつけているのは、黒髪を短く切った少年、その顔立ちは整っている。 対して、怒鳴られている少年は面倒臭そうに、その瞳を半開きにしながら欠伸をしている。 幾ら残暑が厳しいといえども、彼の睡眠欲は計り知れないものがあるらしい。 「だから何度言ったらわかるんですか!」 そう怒鳴らなくても、と欠伸をした少年は言う。 「このままで行けばリオン様は確実に留年ですよ? それを分かっていらっしゃるのですか?」 面倒臭そうに説教を聞いている少年――リオンは、気だるそうに言葉を返す。 「分かってるって。面倒臭いなぁ、まったく。お前も授業出てないから単位がまずいんじゃ無いのか?」 確かに。今は授業中である事に変わりはない。 「ええ、ええ。一応貴方を呼びに行っている、と言う事で最近は出席扱いになり始めましたよ」 こめかみに青筋を浮かべて、少年は言う。 対するリオンは、そんな彼の皮肉など何処吹く風だ。
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