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まぁ、実際の所を言うとこういったものはよく、福引きの景品としてある。
一泊二日の旅行券などと並んで。
「それを当てたのかよ」
「まぁ、ねぇ」
曖昧な返答をするリオン。
今は質問に答えるよりも、クルドに約束を取り付けた方が大切だ。
「では、クルドさん。放課後、正門の前で」
そう言うとリオンは彼女の机の上に、チケットを置いたまま去っていく。
その途端に、一斉に彼女の席へと人が集まる。
彼らは口々に「なに!」や「すげぇ!」といった、感嘆符が目に見えるような言葉を放っている。
まぁ、貴族ですらも滅多に行かないレストランだから、仕方がないと言ったら仕方がないが。
そして、そのチケットを見てリオンの事が気に入ら無い生徒が一人。
そう、その生徒とは、リオン達のクラスの学級委員長である。
彼女はかねてから、リオンの実力に関して疑いを持っている。
何を隠しているのか、非常に気になっているのだ。
目の前でリオンの力を見て、夏休みにはリオンの実力の前に、完膚なきまでに叩き潰された。
そんな彼女が、なぜリオンがこのような高級レストランの特別優待券を持っているのか、疑わない訳が無い。
先程のリオンの説明は、確かに納得できるものだった。
実際に彼女も買い物などに出かけた際に、こう言ったものを見かける事が多い。
だが、それを福引きで、しかもこんなにタイミングよく手に入るとは考えられない。
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