聖女と淑女と少女達とそして従者

31/47
前へ
/617ページ
次へ
まさかの衝撃的発言! どうやらファイはリオンが来ていなかったら、カレナに告白をしていたらしい。 どうやら夏休みのあれで心が決まっていたらしい。 好きなものは好き。 もう、否定も押さえつけたりもしたくないのだろう。 尤も、彼自身がリオンを言い訳にしているのかもしれないが。 「おお、そうかそうか。俺も母さんと付き合い始めたのは、高校生の頃だったからな!」 二人ともなんだかんだで高校生に至るまで、結局はそういった関係にならなかったわけであるが。 家族であったことが何より、二人の気持ちの枷になっていたのだろう。 まぁ、それを打ち砕く事件が起きたのが幸福だったのだろう。 それは果たして幸福か否か。 まぁ、幸福だったのだろう。 その幸福の証として、ファイがここに居るのだから。 「その話は聞いたよ。にしたって、どうしてこう、俺の生活をみんな乱してくるかな」 「はっはっは。諦めろ。漫画みたいで楽しいんじゃあ無いのか?」 「おいおい、父さん。漫画は見るから楽しんだぞ」 「はっは。確かに。あんな事に巻き込まれたくはないね」 「分かっているならやめてくれよ……」 「世の中にはそう言った世界にあこがれる奴だっているんだぞ?」 「俺はあこがれたくないよ」 そうかそうか、とクロノは笑った。心底面白そうだ。 周囲の目が此方に向いていて、とてつもなく恥ずかしいファイである。 テレビなどでしか出会えない有名人を目にすれば、嫌でも野次馬根性がわくだろう。 それがクロノ・デルシオンという、生きた英雄であるのならなおさらだ。 「ほらほら、みんな散って散って。これは見世物じゃ無いからね」 愛想笑いを浮かべながら、見物客にそう言うクロノ。 これ以上、ここに集まられても迷惑だ。 それに――。 「何事ですか!」 ほら来た。
/617ページ

最初のコメントを投稿しよう!

7442人が本棚に入れています
本棚に追加