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全くもって従者遣いの荒い主人だ。
エルには負けてしまうが。
「それで、身長は?」
「さぁ……そこまで高くは無かったわ。私より若干高いくらいだったかもしれないわ」
「因みに君の身長は?」
「百六十五位かしら。春先に測ったきりだから詳しくは分からないけど」
「犯人に心当たりは?」
「有ったら、こんな所にいると思う?」
それは絶対にない。
間違いなくこのヒステリーお嬢様の事だ。乗り込みに行くに決まっている。
「まぁ、それもそうだよね。分かっていたら、すぐに乗り込みたくなるよね」
「誰に向かって喧嘩を売っているか、しっかりと分からせてやらないといけないわ」
フンと鼻を鳴らして、傲岸不遜な態度でそう言うビーチェ。
なんとなく昔の事を思い出すクロノ。高校生までの自分なら、間違いなく殺していただろう。
そんな息子の姿を、横眼でちらりと確認するエル。
成長を見ることができてうれしいのだろうか?
「確かに分からせないとね。やれることが異なるのだから」
此処で彼女の機嫌を損ねても困るので、当然相槌を打っておく。
正直、あまり平民だとか貴族だとか気にしない人である為、どうだっていい。
出来る事の差異がある為、出来る事をするというのがクロノの信条だ。
「全く、調子に乗った馬鹿ほど、ふざけた存在は無いわ。あんな奴はすぐに殺してしまわないと」
歪んだ発想ではあるが、間違いでは無い。
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