聖女と淑女と少女達とそして従者

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「これはどうしたものかね。ギルドでも配置するか」 クロノは聞いた。 「年増女は事が露見するのを恐れていますわ。だとするのなら、ここは極秘に」 「そうだなあの人も、要請を出してくれればすぐにギルドが総力をあげて警備をするというのに」 「あれから未だ十五年しか経っていませんからね。それに、戦後処理において重要な時期にこれから入ります。こんな時期に、あまり大きな事件を出したくはないのでしょう」 「確かに。いくら平和そうに見えても、風船みたいな平和だからな」 「その平和がようやく定着し、国民から戦争の記憶が薄れて行くためには、まだ時が必要であるのはわかるのですが……」 「確かに。悪戯に国民を不安にさせるのは宜しくはない」 「とはいっても、無駄に状況を悪くしては元も子もありませんわ」 「確かにそうだが……」 互いに愚痴りたい事はたくさんあるらしい。 が、ここは早めに対応を決めて貰いたい。 こんな雑談に時間を浪費していては被害者が増える可能性だってある。 「小難しい政治の話はどうでもいいです。そんな事は王様とか政治家に任せとけば。そんな事よりもこれからどうすんです」 うだうだとどうでもいい話を続けようとしていた、大人二人組を強制的に現実へ引き戻すファイ。 これ以上、本題からそれて貰っても困る。 「そうだな……どうせだから俺も講師でその学校に行ってみるか?」 「父さん、それだけは止めて。俺が恥ずかしいから」 どうしてこの親子は突拍子のない事を言うのだろうか? 初日にあれだけ騒がれたというのに、未だ騒ぎを起こす心算なのだろうか。 只でさえエルの世話で手一杯だって言うのに。本当にそれだけはやめて欲しい。 「……ここ最近仕事もめっきり減って退屈なんだが」 「だったら暇つぶしに散歩とかでもしててよ」 「俺に隠居をしろと」 「平たく言えばそうだね。というか戦争は終わったんだから、その時が来るまで休んでいるのは普通じゃ無いか」 「それはそうなんだが」 どうも腑に落ちない感じに答えるクロノは、深々と溜息をはいた。
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