聖女と淑女と少女達とそして従者

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「さて、今後の事だが」 途端に口調を元に戻して、息子に話しかけるリオン。 「父さんはいつ見ても美人だよね」 「その話はもう良い。もともと、お前達を喜ばせる為のものだったのに……」 衝撃の事実に驚いた。 父と母が昔は孤児で、本当は祖父に拾われた事くらいは知っていたが、この……なんと言ったらいいのだろうか……変装については聞いていなかった。 恐らくは、母親が恋しくなった時に使っていたのかもしれない。 「ともかく、だ。この件はウルドに報告しておく。お前はいつでも動けるように待機しておいてくれ。内部の事は俺が調べておく」 「分かった。頼んだよ父さん。ファイを頼む」 「任せろ」 面倒を見ているのは、むしろファイの方なのだが、それには触れないでおく。 ファイ自身が気付かないような鍛え方もしているので、やはりそこは祖父といった所だろう。 亀の甲より年の功。伊達に人よりも長い歳月を過ごしてきたわけでは無い。 ファイ達はその後、すぐに警察署を出るとそれぞれ帰宅していった。 リオンとファイに与えられた部屋は、学校から一キロ程度離れた所にあるアパートだ。 規模としてはそこまで大きくはないが、長期滞在を目的としている訳ではないので、問題は無い。 因みにキッチンとトイレ、お風呂はきちんとついている。 生活に必要な最低限の物は揃っている。 部屋に入ると、リオンは真っ先に女装を解いた。 服装は支給品のままなので、スカートというなんとも不釣り合いな格好だ。 正直気色悪い。 この光景を見て喜ぶ奴が……いた。一人。 ファイは自分の幼馴染を思い出す。 カレナはこういった本を、少なからず一冊は所持していたはず。 世間では腐女子というらしい。 呼び名なんてどうでもいいが。 もしかしたら、自分とリオンの関係をそんな風に勘違いして、息使いを荒くしている奴がいると思うと、正直ゾッとするのは事実だ。 男に戻ったリオンは服を乱雑に脱ぎ捨てると、ベットへ横たわる。 「あー疲れた。女の格好なんてやってられるかっての」 下着姿で横たわるその姿はまるでおっさんだ。
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