聖女と淑女と少女達とそして従者

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汗と砂埃を落とすと、体を拭いて風呂から上がる。 どんなに小さくても風呂が付いているというのには、非常に有難い。 疲れが一気に取れる。 これがあるのとないのでは、気分にまったくの差が出る。 やる気が出るのだ。 「リオン様、お風呂あがりました」 「うぃー俺後で入るから。飯食ってから位で十分だ」 未だに寝転がったまま、リオンはそう言う。 同じ体勢のままだというのに、制服は何時の間にやら丁寧に折りたたまれている。 どうせ、魔法だろうとは思うのだが……。 小ぢんまりとした部屋なので、服なんかを脱ぎ散らかしたら最後、足の踏み場もなくなる。 常に部屋は片付けて貰わないと。いつ引き上げるのかもわからない現状では、証拠となる物を残さないようにしなければ。 出来れば女子高に通っていたという経歴は、削除しておきたい条項。 恥では無い。恥ずかしいのだ。 しかも、女子の執事として働いていた、と知られたらなんと言われるか……。 考えただけで身震いする。特にカレナからの追及が。 恐らく……生きて帰れないだろう。従妹が来ただけであれだ。 今度は女子高に居たとなれば、命は無い。主に精神的な意味で。 まぁ、それだけではなく今回の事でどうせ、また色々と騒ぎが起こるだろうから、その為にも証拠を残さないようにしないと。 テレビをつけて、ニュース番組の音声を聞きながら手早く料理を作る。 ヘルが居たら彼女に料理を頼みたい所だ。 特段、いつもと変わりはない。 何時も通りこの国は平和である。 「にしても、報道規制されているとは言っても、情報くらいは回って来てもおかしくは無いのですがね」 ふと思った疑問を口にする。
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