聖女と淑女と少女達とそして従者

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正直に言ってしまえばそんな事は「知っている」べき事だ。 というか、知らないといけない事だ。だから、無知無能で愚かな奴ら、なんてリオンや神様連中に言われてしまうのだ。 この国の中での意味は、非常に簡易的に訳されている。 働いてない奴、という意味が浸透しているだろう。 人間というのは、難解な回答を求めない。非常に簡潔で極端な論理によりつく傾向がある。 その極端な例が、ファイ自身がよく言われた言葉だ。 一人が問題を起こしたらそいつだけでなく、そいつが所属しているチームの個人にまで、偏見が持たれる。 一人が簡単なミスを犯してしまったら、そのチームの全員はそのミスをしてしまうような風に思われてしまう。 例え、その他の人間が完璧な人間だったとしても。 人間というのは、複雑なようで簡単に出来ている、と言えるのはこういった所にあるのかもしれない。 「ほらほら、ニートと言われたくなければ、ちゃんと授業に出ましょうね」 「いやいや、ちゃんと出ていたからな」 「それは仕事だからでしょう」 「待て、だったらニートに充てはまらないぞ」 「口応えは結構。ユーレリウルに帰ったら、ちゃんと授業を受けるように」 「五月蝿いな受けるかどうかは個人の自由だろうが」 「全くこのままじゃ本当に留年しますよ」 溜息を吐きながらそう言ってやる。 「そんな事位分かっているさ。留年だけはしないさ」 「……本当に分かっているんでしょうね」 「俺を誰だと思っているんだ?」 格好をつけて、そう言うリオンに向かってファイは言ってやる。 非常に淡々とした口調で。 「ただのニートです」 流石にこの一言にはリオンも心をえぐられたらしい。 中々本気で泣き始めた。 「早く食べないと、料理が冷えますよ」 そう言い置いてファイは食事を続ける。 構ってやると調子に乗り始めるからだ。こういった奴は放置プレイをするのが一番だ。 その後、ファイの食事が終わるまで延々とリオンは泣き続けるのであった。
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