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確かにリオンでは無く、ファイに聞けば何かしらの事はわかるだろう。
わかるだろうが、それは回答にならない可能性がある。
「ファイ、リオンと一緒に居た綺麗な女の人を教えなさい!」
怒鳴るように彼女はファイに尋ねる。
今の今まで想い人と幸福な時間を過ごしていたファイは、無粋な彼女の登場に少なからず、不機嫌になる。
だが、そんなものを表に出さずにファイは彼女のその言葉に返事をした。
「綺麗な女の人……? 心当たりは一応、あると言えばあるかな?」
どういったものか返答に困る。
恐らく委員長が言っているのは、彼の使い魔であるヘルの事だろう。
普段は黒猫の姿をしているのだが、よく人間の姿にもなるのだ。
そんな彼女の正体は、死神。
魔神ロキの娘である。彼女の兄弟には、ヨルムンガルドやフェンリルがいる。
知らない人はいないだろう。
因みに、ファイの使い魔も神様であるところの、ウルカヌスである。
「いや、確か親戚だったよ。彼女は」
苦し紛れにそう言ってみる。
使い魔、だなんて言って、また変な事になるよりかはいいだろう。
「親戚? リオンに親戚なんているの?」
本当はいない。
「ああ、一応な。あんまし滅多に会わないみたいだけど」
これも嘘。本当は毎日のように会っている。
こんな事をする事に本当に意味があるのだろうか?
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