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「俺達が本当の意味での使用人なんだ。主人に逆らう事は許されないし、逆らったりしたら即、首を切られる。給金だってそこまで多くは無いし、雑用係もさせられる。部屋は一人一部屋とかじゃなくて、大部屋で寝るんだ。んで、時たま主人の娘の遊び相手兼目付け役として、使用人のうちの一人があてがわれる事もある。当然、主人の子供だとしても逆らうとかも許されない訳よ」
どうやら苦労しているらしい。
というか、デルシオン家の使用人とはえらく違う。
大体が孤児で、家の仕事をしながら学校を卒業して、就職する面々が多い。
大体、二十代に入ると就職をしたりとか、結婚とかで家を離れる使用人ばかりだ。
因みに、サレナのように長いこと家に居座る人はいない。
まぁ結婚したら家を出て行くのは当然のことだ。
因みに男は就職が決まると同時に、家を出る決まりである。まぁ、家を出ても年に一度は帰って来るのだが。
「うちとは大違いだな」
「お前の所がおかしいだけだっての。というか、普通なら主人に噛みつく使用人なんて、居ないぞ」
「……そう言えば、そうだよなぁ。あの人の場合、そんな事を考えさせる暇がないからなぁ」
派手な立ち回りが大好きだから、どうしても抑えにかからないと後で色々面倒な事になるのだ。
権力とか、そんな大人の武器で押しつぶすにしては、あまりに面倒な事が。
「そんな事になっても、普通はしないって。そんなんでよく首にならないよなぁ」
「いや、むしろ首になりたいんだが」
「お前は気楽でいいよ」
「俺はこう見えても結構普通の生活してたんだぞ? 普通に学校行って勉強して友達と遊んで、年下の面倒を見て」
「羨ましいなぁ畜生」
「それが俺の日常だったんだよ。というか、日常をいきなり打ち崩された俺の身にもなってくれ」
「諦めろ。そう言うもんだ」
「畜生、普通に暮らしてただけなのに、なんでこんなめに遭わないといけないんだ」
「まぁまぁ。そう愚痴るなって。俺達の暮らしをしているからって」
「そいつは関係ないのだけどね……なんて言ったらいいのかな。唐突になれない事をさせられる気持ちだよ」
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