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嗚呼……平和だ……。
しみじみとそんな事を思いながら、殆ど人がいない講堂の中を眺める。
最後の授業時間は集会となった。
本当なら、この時間は数学の問題をひたすらに解くだけの時間だったのだが、急遽予定が変更になったのだ。
まぁ、こんな所は他の普通科の学校と変わらないだろう。
違うところがあるとすれば、それは移動に時間をかなりとるという所か。
生徒が慌てて走ったりして移動をいない様にする為だとか何とか。
正直よくわからんが必要なもんなのだろう。淑女となる為に。
なお、集会の内容は、例によって例のごとく、不審者についてだ。
何を今更言う必要があるのだろうかと激しく疑問だが、学院長であるウルドが居ないので、注意を喚起する為に行うらしい。
表向きには、尤もらしい理由だが、その理由の裏には自分に責任がかからない様にする魂胆が見え見えだ。
ウルドが居なくなった程度で、問題が起きるとは思えないのだが……。
敵の目的が分からない以上、ウルドの存在は学校が安全であるという象徴だ。
それが無くなって不安に思う生徒が居るのだとすれば、今回の集会は意味を持つだろう。
正直に言ってしまおう。
ウルドが居なくなった程度で、不安を感じる程、この学校の生徒達は可愛らしくない。
集団の力というのは実に恐ろしい。自分が集団に属しているというだけで、強いと勘違いをするのだから。
実際には個人が強いのでは無く、集団が強いだけなのだが。
まぁ、個人でバラバラといるより、集団で居た方が安心できるのは確かだ。
二人にしても、一々あちこち飛び回る必要性が無いので、非常に助かる。
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