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こんな事をしたってばれる時はばれる。
それに、他人から聞いた情報を素直に聞くような、そんな単純な少女じゃないのだ、委員長という少女は。
「……へえ、初耳だわあいつに親戚がいるなんて」
それはそうだ。
何せ、彼女に関しての嘘は初めて考えたのだから。
というか、彼女の戸籍そのものが無いので、本当に調べられたらそこでお仕舞いだが。
「そりゃ……ねぇ。リオンはあれでもコンプレックスの塊みたいなもんだし」
ウソには自然な理由をつけなければならない。
それを彼女に教える為に、ファイはさらに口を開いた。
「コンプレックス? あのリオンが? ありえないわね、能天気を絵にしたような男なのに」
眉をひそめて言う委員長。案の定、彼女は一切信じようとしない。
リオンの普段の行動が非常に緊張感に乏しく、また向上心意欲ともに大きくかけているので、当たり前と言ったら当たり前だ。
他の生徒達に聞いたら間違いなく、ほぼ全員が嘘だと言うだろう。
彼を実際に見た事が無い人でも。
噂と先入観というのは、非常に根深く残る。
例えここでリオンが本当はギルドランクSだといっても、誰もが一笑に伏すだろう。
「あいつがそんなに強い訳が無い」と言って。
それだけ、第一印象と言うのは強く、また根深いものなのだ。
「いや、だって親戚の人だってかなりの美人でしょ? それにリオンよりもずっと強くて、崩天のルシフェルにもあった事があるらしいし」
「……そんなにすごい人なのかしら?」
「そりゃあもう。ギルドランクはSだけど、十分な実力を持っていて、ギルドランク特Sに昇格するのも時間の問題らしい。王室騎士隊から声もかかっている程、品行方正なんだ」
ファイから得られた新しい情報に、委員長は親指の爪を噛んで考える。
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