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今目の前居るのは紛れも無い敵だ。
敵はどうすると言われた?
「おかしな事を聞くんだね。従者が主人に逆らう事だよ」
「珍しいね。俺からしたら」
「君の家ではこんな事は一度も無かったのかい? それはすごいね」
「ああ、みんな仲良しだったからね」
「ふふ、君のような温室育ちが僕たちのように、地べたを這いずり回って生きてきた奴らの苦しみなんてわかる筈も無いよね」
「……わかる、なんて傲慢な事は言わない。でも、俺の師匠ならこう言うだろうな。『解りたくも無い』って」
「ははっ、面白い事を言うね。君の師匠って人は。なら僕も言ってあげるよ」
愉快そうに肩を揺らして言うビリー。
「解って貰う必要性も無い」
ビリーがそう言うと、背後からガラスの割れる音が耳に入った。
慌てて後ろを向くと、講堂からもくもくと白煙が立ち上っている。
煙の色からすると、どうやら火の手が上がってる訳では無い様だ。
立ち上る煙を見て、ファイは思い出す。
今回の事件は単独犯では無く複数犯、それも組織的であるとリオンが言っていた。
つまり、他にも協力者は居たという事だ。
恐らく先程の話からすると、犯人は他の従者たちだろう。
まぁ、驚きはしたが、問題はないだろう。
何せあそこには……。
「ビリー、君は襲う時期を間違えた」
微笑みながら呟く。
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