うのうぇn。貴方は何の為に?

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「どうやら君達は彼女がいなくなった今日、この時を狙った見たいだが……そいつは運が悪かった。恐らく今日この場にいるのは、在校生だけでは無いだろう」 そう断言できる。在校生だけでは無い、つまり卒業生。 だが、焦っていた。卒業生が居る辺り計画はかなり入念に練られていたものだろう。 だからこそだ。 だからこそ、力があるにも関わらず行動に出る事が出来ないもどかしさがあった。 理由は恐らく彼女、ウルドだろう。 ギルドでも指折りの実力者である彼女が院長を務めている為に、行動が出来無かった。 規模から見ても一個小隊程度の規模では、範囲系魔法を使用する彼女は脅威だろう。 彼女が使う魔法は攻撃に限定された訳では無い。 広範囲防御魔法も含まれている。 例え、一ヶ所に集めたとしても、彼女によって制圧される。 各個人で襲う作戦を立てたが、前例があり却下。 各個人を襲っては、その従者が疑われる。従者だけ生き残る、若しくは行方不明になるのでは、従者が疑われ、遠ざけられてしまう。 だとしたら、行動する事が非常に難しい上に、もし仲間の一人でも捕まれば、情報が漏れだすかもしれない。 だからウルドがいなくなり、一斉に襲うチャンスが来る今日のような日を待ち望んでいたのだ。 「この戦力、普通なら君達は勝利をしていた。でも、君は本当に間違えた」 「何を間違えたんだい? 君の主人が幾らウルドに勝ったとは言っても、それは魔法陣の力があっての事だろう?」 「いいや、いいや。そんな事じゃ無い」 「だったらなんだい? ああ、あのヴァンの事か? 確かにあいつも強い。だが、この数を相手には……」 「何を勘違いしているんだい?」 ファイはビリーの言葉を遮る。 そう、彼らは間違えている。 「君の主人が強いのかい? あんな温室育ちに負ける訳がないんだけど」 「あっはっはっは。可笑しいね、こいつは! あの人を温室育ちだなんて!」 大口を開けて笑う。敵の前でよくそんな事が出来る。 随分な余裕を持っている。
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