うのうぇn。貴方は何の為に?

14/73
前へ
/617ページ
次へ
ビリーはそう言うと、自身の得物を取り出した。 その動作をした瞬間にファイは抜刀。 炎の刃が一直線に、敵を切り裂かんと飛んでゆく。 だがビリーにはかすりもしない。回避された。 そんなものは分かっている。 この程度は簡単に避けられる。 当り前だ。地面を蹴って加速する。 そのまま刀を両手で持って、袈裟がけに振り下ろそうとした。 だが、出来なかった。何故か? ビリーの得物が火を噴いたからだ。 その指の動きを見て、咄嗟に回避した。奇跡だ。あと僅かでも反応が遅れていたら、頭に風穴があいた事だろう。 「……まさか、君がそんなものを使うとはね」 掠った頬が切れて一筋の紅い血を流す。 それをぬぐう事もせずにただ相手を見たまま、ファイはそう言った。 「……これがおかしいのかい?」 鈍色に輝く銃口を、ファイに突きつけたまま、ビリーはそう聞いた。 拳銃を専門の武器として扱うなんて、類い稀な話だ。 一発一発の魔力消費が非常に激しい銃を使用するなんて、ありえない。 例え、形状はオートマチックであったとしても、連射するためには若干の時間を要する。 弾倉内にある魔力を薬室に送り込み、収束し放つ必要がある。それだけでなく、弾倉に蓄えられる魔力にも限りがある。 本来、銃弾は金属で出来た弾頭を、火薬で加速させて発射させるもの。 マッチロックガン、火縄銃といった方が分かり易いだろうか。とにかく、銃の原型たるそれは弾を発射するために、火薬を銃口から入れて、弾をつっこんで……とやたら時間がかかる。 その時間のかかる事をたった一つの工程にまとめたのが、良く知るあの銃弾だ。 薬莢、火薬、弾丸、雷管などで構成されたそれは非常に効率が良い。 火縄銃の手間と比べたら、なんて事は無い。あちらが一発撃っている間に、こちらは何十発と撃てるのだから。 魔力を使用した銃弾ではこの弾薬を一つ一つ、拳銃の内部で作っているのだ。 薬室に送られた魔力を収束し、圧縮する。その後に火薬となる魔力を入れ、発射する。
/617ページ

最初のコメントを投稿しよう!

7442人が本棚に入れています
本棚に追加