うのうぇn。貴方は何の為に?

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忌々しげにそう言い放つ。先程まで無かった皺が眉にできている。 相当苛立っているのだろう。 何せ突入から十分以上は経過している。 ビリーの目測から言ってしまえば一時間以内に制圧出来なければ、軍が来てしまう。 幾ら戦後の処理で初動が遅れがちとは言っても、自分の娘たちが通う学校が襲われて、慌てない奴がいない訳がない。 彼らにはそれに対抗する「力」があると言っても、じきに無理が出て来る。 「だから、僕も遊んでいる訳にはいかないんだ」 彼はそう言うと、銃をもう一丁懐から取り出した。 ここにきて二挺拳銃。 冗談では無い。手数が二倍になるだけでどれだけきついことか。 普通、両手に拳銃を構えて撃つという事は、命中精度が非常に落ちる。 何せ発射の際に生じるブレが、大きくなるのだから。 だがしかし、その命中精度を補ってくれるのが魔力弾特有の誘導能力だ。 これが出来るお陰で、命中精度は一切落ちない。 唯一の欠点としては魔力の消費が激しくなる、というものだが、これは手数が増えたからであって実質弱点が増えた訳では無い。 つまり、短期決戦に躍り出たというわけだ。 つまり、時間は先程の半分。 都合がよくなった。 だが、ビリーもただ単に増やしたわけでは無い。 短期決戦に出たのだ。 防戦一方のファイに向かって突撃していく。 射撃戦では基本的に動く事は許されない。 先程も説明したと思うが、命中精度が落ちる為だ。 まぁ、拳銃では近接的な戦闘が増えるのは仕方ないことだ。 通常、五十メートルが限度。どう頑張っても二十メートルが、必ず当てる事の出来る範囲となる。 ビリーはそのまま、両手の拳銃を連射しながら走る。 「手数が増えた程度で!」 刀身に炎を燈す。そうして真横に一振り。 「火刃炎牙!」 放たれたのは、無数の炎の牙。 だがそれは全て銃弾によって打ち砕かれた。 所詮は目眩まし。本命は次だ。 「行進曲!」 炎を纏い、ビリーへ突撃する。
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