うのうぇn。貴方は何の為に?

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彼女の言葉を聞くと、生徒教師は一ヶ所に集まる。 先程まで群衆だった奴らが、今集団に変わったのだ。 これが言葉の魔力という奴だろうか? 実際、声を響かせる際に魔法を使用した事には間違いがないのだが。 ある程度集まったところで、エルは妙齢の美女を呼び出す。 それは彼女の使い魔、トリックスターの娘であるヘルだ。 「ヘル、防御魔法を。後は全力でそれの維持。近距離での戦闘に耐えられるように」 「かしこまりました」 指示を受けたヘルはすぐに魔法を使用する。 そんな彼女を見るとエルは魔導書を取り出して対抗策を確認する。 「ヴァン先生」静かに一言。 「なんだい、光を帯びた乙女」 「あらあら、うふふ。警戒して居て下さいね」 互いに笑ってはいない。冗談は飛ばし合っているが、おふざけは一切ない。 「そんなこと、言われなくても分かっているよ。あいつは俺達を閉じ込めた。即ち、次に打って出る手は……」 窓が割れる音と何かが地面に転がる音が、響いた。 それに過剰反応して、臆病な奴らはまた騒ぎ始める。 「突入だ」そう言った瞬間に、煙が立ち上る。 先程投げ込まれたのは、スモークグレネードだったらしい。 目眩ましにする心算だったのだろう。 手榴弾を投げ入れるよりは正解だったかもしれない。 殲滅を目的とするのならついでにスタングレネードを入れるべきだった。 やはりまだまだ甘い。 「来ましたわよ」 「分かっている」 エルは杖と魔導書を、ヴァンは大剣を構える。
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