うのうぇn。貴方は何の為に?

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防護魔法の中にいる連中は後回しにする心算なのか、エルとヴァンの周囲を取り囲む。 厄介な奴は先に潰しておこうという魂胆か? こんな事をする連中だ。生徒の実力も把握している事だろう。この学校に居る、数少ない要注意人物の事くらい。 敵の姿は煙によって見えないが、足音で判断するには十分だ。 何故、相手が見えているのかは定かではないが、どうせ暗視ゴーグルの類でもつけているのだろう。暗視では無くサーモセンサー付きのだと思うが。 「さて、貴方がたの目的をお教えしていただけませんか?」 周囲に散らばる奴らを見て、エルはそう尋ねる。 答えは返ってこない。 フム、まぁそれなりにはできているらしい。気はきいていないが。 無言で一人が剣を振りかざして斬りかかってくる。 なんの事は無い。やはりそれなりに素早い行動ではあったが、軍隊の動きでは無い。 ユーレリウル学園卒業程度の動きはしているが、新兵風情が背伸びをした、と言った所だろう。 エルは十分に引きつけてやると杖で受け止めて、腹を蹴ってやる。 ご褒美、とでも言わんばかりに。 腹部をけられたそいつは、短く息を吐くと元いた場所まで後退する。 「あらあら、その程度ですの? その位で私に逆らおうなんて、五百年早いですわ」 くすくす、と愉快そうに笑いながら周囲を囲んでいる奴らに言ってやる。 なんだ。こんな大層な事をする奴らだから、どれ程の実力かと思ったら。 所詮は青臭い子供の集まりにすぎなかったらしい。 つまらない奴らだ。 「おいおい、あんま挑発しないでくれよ」 「あら、この位の数で泣きごとを漏らすのですか?」 背後で背中を向けている、ヴァンへ皮肉交じりに言ってやる。 何時でも問題は数だ。
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