うのうぇn。貴方は何の為に?

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男どもの士気を高めると同時に、今まで自分達を虐げて来た奴らを辱める為に。 全く、欲求に素直すぎるな。 まぁ、そんな凄惨な光景を見ても、手を貸そうとしないのが、ここにいる貴族の娘たちや教師たちだが。 まぁ、手を出されても困るだけだ。目を背けていればいいさ。 「……ヴァン。貴方は殺さないようにしている様ですが、私はもう、我慢の限界ですわ」 エルは魔法をはじきながら、そう言う。 そろそろ、出血量がひどい事になり始めた。 普通なら視界がかすむか何かするレベルだろう。 「魔導書が無いお前が、何をしようってんだ? 命乞いでもするのかよ。まぁ? 私を貴方達の奴隷にして下さい、って泣いて言うんだったら命は助けてやっても良いけどな!」 一人の男がそう叫ぶ。どうやら自分に酔いしれているみたいだ。 それを聞いていたヘルは、一人静かに呟く。 「自分から死を選択するような真似をするとは……」 愚かな、と言わんばかりに溜息を吐きながら。 「私が、貴様風情に? 笑わせないで。冗談じゃ無い。貴様のような豚は丸焼きにされる運命よ」 言葉遣いが変わる。明らかに今までとは正反対の話し方だ。 「ヴァン。貴方がどんな思いだろうが、私には関係が無いわ。私は、もう殺す」 明らかに切れている。頭に血が上っている状態だ。 「何をする気だ!」 傷をいくつか作りながらも、応戦しているヴァンは聞く。 彼は未だに、使用人たちを殺そうという決断は出来ていなかった。 何者かに操られているのではないか、そんな考えがあるからだ。 それに、間違った道へ陥った生徒を矯正してやるのも、教師の務め。 エルが応えようとする前に、一人の男が斬りかかってきた。 「ごちゃごちゃ煩いんだよ! さっさと死ね!」 更に速くなった。一体どれだけの力があるのだろうか。 全く、その力の根源を調査する事になる身にもなって貰いたい。 だが、その前に……。 「ああ、もう。鬱陶しい」
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