うのうぇn。貴方は何の為に?

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魔法で服を修復する。いや、きがえた、といった方が正しいだろうか? 変えたのだ。紺色が目立つ制服から、白い純白の優雅なドレスに。 彼女は怯んだままの敵に向かって言ってやる。 何処までも見下した口調で、目で、態度で、彼らに敗北を教えてやる。 「さぁ、懺悔なさい。そして還りなさい。塵芥と成り果てて」 圧倒的な殺気に彼らは怯む。 えもいえぬ恐怖に、従者達の本能が警報をかき鳴らす。 「まだだ! こっちにはこの魔法陣がある!」 誰かが、エルの持っていた魔法陣を手に叫ぶ。いつの間に、拝借していたのだろうか。 全く手癖の悪い奴もいたものだ。 「それに……それに未だ、ビリーが!」 その言葉に反応したのは、当然彼の主たるビーチェだ。 「ビリーですって!」 彼女がそう叫んだのをいい事に、調子に乗った一人の少年が話し始める。 「そうさ! ビリーは俺達の誰よりも強い! しかも、あの薬によって強化されている! 勝ち目はないぞ!」 「そんな、まさかビリーまで……!」 「嘘よ! あいつが、そんな事をする訳がない!」 「嘘かどうかは……がっ!」 くっちゃべっていた少年の胸に、炎の剣が刺さった。 「ごちゃごちゃと五月蝿いわね。そんな事、私には関係がないわ」 大分、苛立っているエルがそう言う。 その少年の体は、その場に倒れこんで行く。 心臓を貫かれ、焼かれた彼の体はもう二度と動く事は無い。 「私は言った筈。懺悔なさいと。貴方達に救済は来ないのよ」
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