うのうぇn。貴方は何の為に?

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その匂いにシルノは顔をゆがませて鼻をつまむ。 心地好いものでは無いのは確かだ。それでも平然とエルは見下している。 「こんなものかしら。まぁ、派手な事は出来ないから精々楽しませて貰いますわ」 そう言うとエルは、やけくそになって向かって来た奴に向かって一振り。 次は剣ごと首を吹きとばした。 剣の切っ先は床に刺さり、体と離れた首は宙を舞いそして床に落ちる。 剣ごと斬り飛ばす。どれだけ切れ味がいいのだろうか。 因みに血は噴き出ない。傷口が焼けてしまっているから。 目の前にいる鬱陶しい連中を、まとめて胴から真っ二つにしようと魔力を高め、そして魔剣を横に構える。 その刹那、突如として先程塞がれたはずの扉が吹き飛んだ。 それと同時に何かが堂内に転がり込んできた。 「ぐっ……!」 その何かは、小さく唸ると体勢を立て直し立ち上がる。 「お兄……ちゃん……」 シルノの口からそう言葉が出て来る。 塞がれた扉を突き破り、堂内に入って来たのはファイだった。 彼の全身は既にボロボロ。 折角の執事服も、あちこち破れてそこから血が出ているのが分かる。 傷は切り傷だけでは無く、焼け焦げたような跡もあった。 足下もおぼつかない様で随分とふらふらしている。 肩で呼吸をしており、随分と表情も険しい。 が、その瞳からは一切の闘志は失われているようには見えない。 その瞳の先にいるのは……。 「ビリー……」 ビーチェ・ジェンマ・アリギエーリが呻くように一人呟く。 彼女の言葉が届いたかのように、ちらりとビリーは彼女を見た。
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