うのうぇn。貴方は何の為に?

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「お前達は一体何をやっているんだ」 ビリーの口から冷やかな言葉が飛んでくる。 向かう先は怖気づいている従者たちだ。 「いや、この女が嫌に強いんだ」 発砲音が響く。ビリーが銃を天井に撃ったのだ。 「言い訳はいい。俺達は俺達を見下した奴らをすべて殺すと誓ったのでは無いのか?」 冷やかな瞳でビリーはそう言ってやる。 このざまでは何故自分がこいつを足止めしていたのか、意味が分からない。 「へ……へへっ。だから言っただろ……お前達は、間違えたって」 強気にもファイは微笑みながらそう言った。 自分自身は此処までボロボロなのに。 確かにエル一人でどうにかなる連中だろう。例えファイが居なくとも、問題は無い筈。 「やれやれ、ここにいる連中のレベルが低いと思って安心していたら、思ったよりも骨のある奴が居たものね。一寸油断しちゃったわ」 血染めの魔女は困ったように笑いながら溜息を吐く。腕を斬りおとされた時点で、油断とは言わないのだろうか? 「……お前か。俺達の邪魔をするのは」 紅く染まった純白のドレスを纏った魔女に向かって、なにも臆する事無くビリーは言い放った。 彼の体からは既にエルに負けない程の殺気が溢れている。 「そうよ。邪魔をするの。仕事だからね」 「面白い事を言うな。仕事でなければ助ける義理も無いと?」 「当たり前じゃ無い。こんな奴らに助ける価値なんてある訳無いじゃない」 「だったらどうして俺達の敵となる?」 「いいじゃ無い、そんなのどうでも。私にとってはあんた達も同じって事よ」 「ふん、この国に住むもの全てが嫌いか?」 「あら、よく分かったわね。その通りよ。すぐにでも壊したいくらい」 肩をすくめておどけて言う。 「ならすれば良いじゃないか。自分の生きたい通りに生きれば」 「文句を言わない奴も珍しいわね」 「俺は貴様よりも強いからな」 「あら、可愛い。ドーピングで強くなっているだけなのに」 「口が軽い奴もいたもんだな」 眉をひそめてビリーは呟く。 秘密にしなければならない事だったのだろうか? だとしたら余計気になるじゃないか。 それの出所は一体何処なのだろうか? 既存のそれに類似する薬を、はるかに凌駕する効果の薬を持っているなんておかしいだろう。
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