訪れる未来の女神

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委員長はさらに頭を悩ませる。 「でも、親戚の人と仲良くいたのかしら。ファイの言った通りなら、憎んでいてもおかしくは無い筈だけど」 委員長は質問してみる。 たしかに当然の疑問だ。 「昔から仲が良かったみたいでね。たぶん、この券も親戚にもらったんだろ」 先程リオンからもらったものを彼女にも見せる。 「あいつ二つも持っていたの!」 「みたいだな。全く何時の間に二つも手に入れたのやら」 「リオンの親戚って一体何処の名家なのよ。こんなものをやすやすと手に入れる事が出来るなんて」 今度こそ言葉に詰まるファイ。 リオンの出身は今は無い王国だ。 しかもそこの王子様。 流石にそれを言う訳にも行かないだろう。 だとすると困った。何処の名前を上げるにしても、ここにはない名前になる。 ……さて、どうしたものか。 ここは聞いていない事にしておこう。 「悪いな委員長。流石にそこまでは俺も知らないんだ」 「本当に? 嘘をついているんじゃ無いの? それとも……」 言えない事なんじゃないの、と聞こうとした。 「話してくれないんだからしょうがないだろ」 口を尖らせてそう言うファイ。 教えて欲しいと暗に訴えている口ぶりを演出してやる。 ファイにとっては非常に簡単な演技だ。
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