うのうぇn。貴方は何の為に?

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いやいや、昔から魔力や筋力を増強する薬はあった。 ステロイド系の薬物や、モルヒネなど。覚せい剤もその一種だ。 だが、ここにいる連中の能力の上がり方はどう見てもおかしい。 薬の効果は普通に考えても、せいぜい基礎筋力を若干誤魔化す程度。 当然、副作用なども存在する。強い薬を使えば使うほど、副作用は酷くなる。 だが、目の前で見ていても、こいつらは全く副作用の効果が出ていなかった。 だとするのなら、新薬としか考えられない。 「生憎だったな。俺は薬を使った程度で強くなるとは考えてない。所詮あんなものは基礎訓練を行った上に、更に限界を突破するためにあるんだよ」 「つまり、あんたはもともと強いって? ほんと、自意識過剰だわ」 エルはそう茶化したが、事実ファイを打ち破り平然としている、彼の実力は認めざるをえない。 カレナですら手こずる相手であるのは間違いないのに。 「自意識過剰かどうかは相手をしてみて確かめるんだな」 彼はそう言うと、銃をエルに向けて引き金を絞る。 銃そのものを使う事が有利に立つことに等しい。 「やれやれ本当に玩具が好きなのね」 銃口から放たれた弾をいとも簡単に掻き消してしまうエル。しかも小言のおまけつきと来た。 余裕ぶっているが、本当に余裕なのだ。 オールレンジによる防御でシルノ達を護っている以上、別に銃弾が何処へ跳ぼうが気にしない。 ヴァンは最早戦力外だ。 殺す事が出来ない奴なんて、もうこの場では意味がない。 意味があるのは命のやり取りそれだけだ。 そこにきて甘いファイが居る。 だが、彼は割り切っている。 既に、ビリーは言っても聞かない事を肌で理解した。 刃を交えるという事は、想いを交える事に等しい。 互いに刃がぶつかる時に、躊躇いがあるかどうか分かってしまう。 日頃の訓練のおかげか、何故かファイにはそれが出来るようになっていた。 刃を振り下ろす時は一切迷うな、相手を殺す事に躊躇いを持つな、でなければ死ぬのは自分。 リオンにそう言われ続けたらその位分かるだろう。
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