うのうぇn。貴方は何の為に?

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実際に迷いがある奴と戦ったこともあるのだから。 そんな奴の剣の切っ先は常に震えていた。当たり方も弱い。直前で力んでしまうからだ。 だが、ビリーの刃には一切ためらいは無かった。 最初は出来る事なら殺したくはないと思っていた。 だが、途中から考えを改めた。 殺すしか無いと。そうしなければ、こちらが殺されてしまう。 何よりこの実力は脅威だ。 そこら辺の大人よりよっぽど強い。ギルドランクはAと言ったとこが妥当だろう。 そんな奴が危険な思想を抱えたまま放置されてみろ。それこそ大惨事に繋がりかねない。 ビリーの気がエルに行っているのを見ると、すぐさま刀で斬りかかる。 炎を纏わせての一撃。全力で戦わなければ。 ビリーはそれに気づくと、跳んで回避する。 ファイの刀は空を切るにとどまったが、若干の時間は稼げた。 「ウルカヌス!」使い魔召喚だ。 彼の使い魔は火の神。鍛冶の神と呼ばれたウルカヌスだ。 「……待ち侘びたぞ」 そう言って紅蓮と共に現れる男。 「……まだあんたの力を十分に扱えないんでね」 「そうか。殊勝な心がけだが、夏休み以降出番がなくて少々退屈していた」 「それは悪い事をした」 ファイの姿を見てもなんら驚く事も無くウルカヌスは臨戦態勢をとる。 「勝てるのかしら?」 エルはファイに尋ねる。 そんなの関係ない。 「勝つ。勝ちます。それ以外選択肢があると?」 「この場合の勝つの意味は――」 「くどいですよ」
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