うのうぇn。貴方は何の為に?

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そんなの、何度も言わなくても分かっている心算だ。 殺す。被害が及ぶ前に脅威は排除しなければ。 「……君に俺が殺せるのか?」 挑戦的な瞳でビリーはファイに尋ねる。 「殺せるさ。殺して見せる」 「どうせ殺した事も無いんだろう?」 「有るよ。何人もね」 「へぇ、じゃあ君は人殺しだ」 「そんな言葉で俺を揺さぶろうったってそうはいかない。俺は人殺しになろうとしているのだから」 ファイは言い放つ。これはまぎれもない事実。 人殺しになる為に、あの学校に通っているのだ。ファイもカレナもピアナもワルキもみんなみんな。 あの学校に通っている生徒の中で、人殺しにならない事を願う人が居るのなら、それは外の学校に転校した方が良い。 人を殺さずにいられる軍人が、いるのだろうか? 管制官だけだそんなの。 例え、どんなきれいごとを言っても人を殺した事実は消えない。 真実でどれだけ美化しようとも、事実は消えない。 真実は幾つも存在するが、事実は一つしか存在しない。 そして、崩天のルシフェルですら大量殺人者、虐殺者であるという事実だ。 どのような栄光にその身を包まれようとも、その下にある返り血は隠しきれない。 骨に染み付いた悲鳴を取り除く事は出来ない。肉を裂く感覚を忘れることが出来ない。血肉の焼ける匂いを忘れることが出来ない。 眼に焼き付いた愛する者の最後を忘れることが出来ない。 「俺は、失うくらいなら、奪ってみせる」 炎を吹かす。紅蓮を纏う。 紅く紅く燃え上がる。 室内でやっている所為で、延焼を始める。 黒い煙が上がり始めて辺りが紅く変わり始めている。 「あらあら……本当にあの二人の子供なのね。まったく。これじゃあこっちまで危ないじゃないの」 エルは溜息を吐いて、シルノ達を見る。 此方には防護魔法を使用していないので、火が届く。 流石にトランプで延焼を防ぐのは厳しい。 さてどうしたものか。 まぁたまにはいいだろう。 二人をひょいと持ち上げると、そのまま放り投げる。 余りのことに頭がついて行ってないが、気付いた瞬間に悲鳴を上げる。 それに反応して、ビリーが銃弾を放つ。
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