うのうぇn。貴方は何の為に?

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そんな事は解っていることだ。 言われなくてもだ。 「それでもやらないと勝てないだろ?」 「無論だ。俺はお前の魔力を喰ってここに存在しているんだからな」 「だとしたらそうした方が正しいだろ」 「軽々しく言うがな、あれは結構恥ずかしいんだぞ」 「そんなの俺だって一緒だ」 ヒーロー見たく勝手に変身するあたりが非常に恥ずかしいが、そんなの言っていられる状況では無い。 やるしか無い。やらなければ勝てないだろ。 RPG――ロールプレイングゲーム等でわかり易くいいかえるのなら、負けイベントだ。 敗北必至の戦闘であれど、ある一つの行動を起こす事によってようやく勝てる。 それが炎魔装というやつだ。名前は今考えた。 「だが、ここで問題が一つ」 「時間がないだろ?」 相応の時間が必要だが、時間がない。稼ぐにも隙が出来る。 無論エルに対しての救援は望めない。先程自分でやると言ったばかりだ。 意地位は見せる。 ジリ貧の状況で打開策を練っていると、何処からか魔法が飛んできた。 「ビリー……貴方はどうしてこんな事をしているの!」 彼の主人だった、ビーチェだ。 怒気を孕ませているが、どこか悲しげな表情である。 何故、彼女がこんな物憂げにしているのか、ファイに理解が出来ない。 彼が見たビーチェの姿は傲慢で、自分の事しか考えていない風だった。 そうとしか考えられなかった。 従者に冷たく当たり、辺りに喚き散らして自分の道理を貫かせようとするのが、彼女だろう。 「誰だか知らんがチャンスだぞ小僧」 ウルカヌスはそう言う。 確かにビリーの気がビーチェにそれている今は、絶好のチャンスだ。
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