うのうぇn。貴方は何の為に?

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だがその直前で、弾は叩き落とされた。 見えたのは紅を映した銀の刀身。刃をつかって落としたのでは無く、刀の背を使ったのだ。 そうすることによって、完全に運動エネルギーを消滅させる事が出来るから。 「邪魔をするなよ。俺のものにするんだ」 ビリーは装備を変えたファイに全く驚く事はなく言う。 「お前、正気かよ」 「正気? 変な事を聞くんだな。お前は俺を狂っているというのか」 「ああ。狂っているよ。少なくとも俺の眼にはそう見える」 「ならどうして尋ねた」 「そんな気分だったからだよ」 「俺よりお前の方がよっぽど狂っているように見えるけどな」 「……愛したものを壊そうとするお前の方が、狂人と言うに相応しいよ」 それだけ言うとファイは駆ける。殆ど跳躍といった方がいいかもしれない。 明らかに脚力が上がっている。 ファイの攻撃をかわし、ビリーは銃口を向ける。 反応して左腕に魔力を送ると、籠手から炎の盾が現れた。 基本的にはファイの持っている鞘と同じ能力だが、その強度は比較にならないほど上がっている。 正確には上がっている風に見えるのだ。 ファイの出力が上がっているだけであって、殆ど同じものなのだから。 「君には解らないさ! 居場所を追われた奴の気持ちなんて!」 銃弾を放ちながら接近する。 「知るかよ! そんなもの!」 籠手の炎を纏わせた左腕で払い銃弾を焼き崩す。 牽制のつもりだったが、もはやそれにすらなっていない。 接近してきたビリーのナイフを刀で受け止める。
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