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非常に簡単な演技なのだが……。
これがはたして彼女に通用するのか、非常に疑問だ。
何せ、リオンの事となると殆どの事を疑ってかかるのが彼女だ。
夏休みにも、ギルド任務と言う名の小旅行に行っていたのだが、委員長はそこについて来てしまった。
情報源はどうやら、生徒会長らしい。
彼女のおかげで、やらなくても良い模擬戦を行わされたのだ。
おまけに、まともに遊ぶ暇もなく、そのまま帰るという最悪な目にもあってしまった。
ファイもカレナも、もう少し海辺で遊んでいたかったのだ。
プライベートビーチと化した、蒼い海辺で。
「……そう。分かったわ。で、ひとつ聞きたい事があるのだけれども」
案外あっさりと、納得した委員長。
内心、安堵の溜息を吐くファイ。
隣に居るカレナはどことなく不機嫌そうだ。
「何、委員長?」
口を尖らせて、委員長にそう言うカレナ。
どうやら、夏休みの一件を未だに気にしているらしい。
裸で委員長がファイに迫った事を。
「怒らないでよカレナ。あのときは悪かったって。私もどうかしていたのよ」
顔の前で手を合わせながら、カレナに謝る委員長。
それでもカレナは頬を膨らませたままだ。
「どうだか」鼻を鳴らしながら顔を背けて言う。
相当根に持っているらしい。
夏祭りではかなりいい雰囲気になって、距離がかなり縮まったというのに。
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