うのうぇn。貴方は何の為に?

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ビリーは向かってくる攻撃を、目で見ることによって反射的に運動をはじめる。 まず、半歩下がり、彼女の拳を受け流すように避ける。 そして、その腕をつかんで投げ飛ばす。当然、彼女は戦闘に関しては素人。受身なんて取れるはずもなく、背中を地面に強打する。 短い呻き声をあげると、精神力だけで体勢を立て直そうと努力をする。 だがしかし、彼女が体勢を立て直せるだけの時間があれば、ビリーは銃弾を何十発も撃つことができる。 今度こそ外さないように、しっかりと狙って、引き金を絞り、銃弾を放つ。 もう、今度は指先は震えていなかった。 ただただ目の前の敵を、打ち倒すことが目的となっている彼には、こうした行動すらただのサイクルの一つとなっているのだ。 今度こそ、逃れられない一撃。 だが、それはまたも炎によって邪魔をされた。 「・・・・・・君は僕の邪魔をどれだけすれば気が済むんだ」 「どこまでも、だ。どこまでも邪魔をしないといけないんでね。例え、君を殺すことになったとしても」 一体いつの間に回復したのか、ファイが刀を握ってそこに立っていた。 やはり疲労の色は隠せていないが。 ついさっきまで倒れていたのだが、エルに腹部を蹴られてようやく動けるようになったのだ。 体もまともに動けるような状態ではないが、ウルカヌスによって強制的に動かしている。 再び、二人は刃を交える。 互いに接近戦のみが頼りだ。 ファイが刀を振れば、ビリーはそれを受け止める。そしてそのまま銃弾を放つが、上半身を大きく動かすことによって、回避する。 片手で銃を握るとそのまま投げ飛ばす。 「お前は! ただ運命だとか、そんな言葉を使って自分を美化して、格好いいとか自己陶酔しているだけだって何でわからないんだ!」 「そんな事はない! それこそ、君だってそうじゃないか! 仕事だとかそんな理由で、僕を倒そうとしている!」 互いに火花を散らしながら、怒鳴り、喚き散らす。 感情があふれ出している。
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