うのうぇn。貴方は何の為に?

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ああ、頭の中が焼けるように熱い。考えることも既に放棄した。 後は本能に従うまま戦うだけ。 でなければ、彼には勝てないだろう。 戦うことに関しての高揚感のみが、体を突き動かす。 たのしい! 楽しい! 愉しい! すべてが快楽だ。この体を包み込むすべての感覚が快楽だ! 楽しくて楽しくてしょうがない。 戦いとはここまでして楽しいものだったのだろうか? 実に不思議な気分だ。 自然と笑みがこぼれてくる。 体の底から力が溢れ出してくるかの様だ。 相手の動きが見える。 見えてしまう。体が動く。 ああ、そうか。 わずかに残った理性で理解した。 この状態こそが、ワルキの本気なんだ。あの時の彼は本当に格下とは思えない程の強さだった。 ああ、成程。完璧に理解してしまった。 この力の使い道すら。 ビリーの刃が向かってくる。直撃コースだ。 ファイはそれを視認すると、刀を振るう。 ナイフを防ぐためではない。 ナイフごと、腕を折るためだ。 そもそもナイフと刀では重量差がある。比べ物にならないほどの重量差が。 刃が交わった瞬間に力をさらに入れてやる。 するとあっさりナイフは押し返される。 放たれる銃弾は全て炎で打ち消す。魔力消費などもう知ったことか! 足に魔力を込めて加速する。 これだけで、自分が手加減していたことがよく分かる。 さっきまでとは段違いの速さだ。 流石のビリーもこれには目を白黒させている。 横薙ぎに振るわれる刀を、体勢を低くして回避すると、銃を向ける。 が、ファイはそれに対して右の手に装備された篭手に魔力を集中させる。 魔力で作られた防具だ。魔力を使う事で強度が上がることは明白。 当然それを全て防御する事に成功する。 それも分かっていた様で、ビリーは次に足を払う。 視界を手で覆っていたので、反応できずに地面から両足は離れてしまう。
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