うのうぇn。貴方は何の為に?

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が、曲芸にも等しい空中回転で、難なく着地。 舌打ちもしたくなる気分だ。 流石は有名なユーレリウル学園の生徒だっただけはある。 いや、あの化け物の従者だといえるだろう。 若干距離が離れてしまったので、それを機に魔力を左の拳銃に集中させる。 複数ある薬室の内の一つに、ありったけの魔力をこめてやる。 先程までは手数や、魔力消費量を考えてでの攻撃だった。 だが、今度は違う。 ファイを消し飛ばす心算なのだ。 「バスターショット!」 大量の魔力が、薬室内に圧縮されると同時に、ビリーは引き金を引く! 銃口からは人一人を飲み込んで余りあるほどの魔力が放出された。 内径九ミリのバレルから、人を飲み込めるだけの魔力を解放するなんてどうかしている。 しかも型はリボルバーとはいえども拳銃だ。 幾らなんでもバレルが面白いことになってしまう。 つまり、この一撃こそが、彼の切り札なのだろう。 だが、本能で戦闘を継続していたファイが彼の次の行動に気づかない訳もない。 一撃必殺で来る事はわかってた。 そして、避ける事なんて出来ない事も。 防御なんてする位なら……真っ向から受けて立つ! 刀に火を灯す。それは紅くなりそして、蒼くなる。 蒼い蒼い蒼穹のような炎を刃とし、弾――そう表現するのもどうかと思うが――の中に突っ込んでいく。 そして、銃弾との距離がゼロとなると刀を振るう。 ぶつかり合う魔砲と炎刃。 放出されるエネルギーはただただ、ファイを飲み込もうとする。 やがて拮抗していた状態が崩れる。 ファイの炎刃が魔砲を切り裂いたのだ。 これを機と言わんばかりに、ファイは柄を握る力を強め、魔力を更に全身に行き渡らせる。 最早、肉体が出せる出力のキャパシティを明白に超えている。
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