訪れる未来の女神

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溜息を吐くと、カレナはもう一度彼女に尋ねる。 「で、聞きたい事って何なのかしら?」 余り細かい事を気にし過ぎていても、いい事なんてない事を覚えたのだカレナは。 彼女が許したと思い込んだ委員長は、思いついた事を口にする。 「そのチケットって何人までいいのかしら?」 それを聞いたファイは疲れた風に溜息を吐いて、カレナは頬をひきつらせていた。 ―――――― 高級レストラン、エルシオン。 王室御用達の超高級レストランとして、キホリア国に住んでいる人なら知らない人はほとんどいない、と言う程の知名度を誇るレストランだ。 当然、こんな店の主は大抵貴族と見られがちだが、実はこの店の主は貴族の出では無く、平民の出身だ。 他の高級レストランにはない、招待券なる物が存在するには彼の特別な思いがある。 彼は少年時代、食べ物に困っていた。貧乏で、家も、財も、学も無い。盗みなどを繰り返して食いぶちを手に入れて来た。 日々を生き抜くのに、精一杯だった。 当然食べるものなど、選んでいられない。 時には生ゴミ同然のものも、口に入れた事もある。 そんな荒んだ生活の中、彼に転機となる出来事が起きた。 それはとある人物との出会いである。 彼の自伝では、その人物に関して詳しい事は記されては無いが、彼、と表記されている事から、男性である事は想像できる。
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