うのうぇn。貴方は何の為に?

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忌々しげにしたうちをすると、彼女は魔法を使用する。 「待て! 話が違うぞ!」 発動された魔法をとめさせようと、飛び掛るヴァン。 「ごちゃごちゃと煩いわ。拘束くらいはするでしょう」 今、彼女が使った魔法は、拘束魔法。 一人として、逃さないための牢獄を作ったのだ。 「……驚かせるな。さっきまでの事があるからな」 「あら、信用が無いのね。まぁ、いいわ。貴方程度に信用される必要性はありませんし」 溜息をはきながら、そういうエル。 ヴァンの発言さえ無ければ、皆殺しルートは確定だったというのに。 余計なことばかりをしてくれる、と舌打ちをする。 ユーレリウル学園での出来事を知っていては、どうにも出来ない。 前回の事件で、被疑者を殺してしまって、息子に大目玉を食らっているのだ。 襲撃者の発言を聞く限りでは、間違いなく何らかの施しを受けているに違いない。 薬物だろうか、魔力だろうか。いずれにしても、その背後には何らかの黒幕が居るに決まっている。 その黒幕に到る事が出来ないのでは、意味が無いのだ。 死人に口無し。 死者を生者に変えるなんて、ふざけた道理は流石のリオンも無理だ。 流石に、また大目玉を食らいたくは無い。 だったら生かしておくしかないのだ。 「真犯人なんて、推理小説でもあるまいし。どうでも良い事この上ない」 溜息を吐くように、一人ぼやくエル。 ファイが起きていたら、間違いなく頭を叩かれている。 いや、それこそ今現在はどうでも良いだろう。 その前にやることがある。 それは―― 「あの馬鹿二人の後始末をしないとね」 周囲を燃え盛る火炎を、鎮火させることである。
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