うのうぇn。貴方は何の為に?

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口を開いて大笑いするエル。 はしたない。学校でのあの淑女らしい態度は一体何処へ行ってしまったのやら。 「そうね、全くその通り。何せ最愛の人を殺されたんだものね」 「私も同罪だって事は分かっているんだけど。どうもね」 ほう、と。 エルは素直に感心する。 この女の事だから、どうせ誰かの所為にするんだろう、そう思っていたのだ。 「私が素直なのはおかしいかしら?」 「そりゃあねぇ。最初から、自意識過剰だったから」 「そりゃ失礼したわね。私だってあんたの喋り方が気に食わなかったのよ」 「それで食って掛かってきた、と。全く子供なんだから。猫被ってる事くらい見抜きなさいよ」 「無理よ。あんたあれで完璧だったじゃない。蓋を開けてみたら、こんなのだったなんて」 「あら、ご挨拶ね。少しは人を見る目を育てなさい。いずれ家を背負って立つんでしょ」 「……家なんて、どうでも良いわ、もう」 「大切なものなら、二度と手放そうとしないことね。貴女は貴族よ。少しばかり傲慢でかまわないわ」 ぽん、と頭に手を置いた。 「無理して大人ぶらなくていいのよ。好きなものは好き。それだけの道理があれば、後は何とでもなるから」 そういうと、エルはそこから立ち去る。 その言葉を聞いた後に、ビーチェは泣き崩れる。 もう今更、遅いよ。そんなの。 焼け付くような日の光が彼女を照らす。沈み行く夕焼けが、まるで彼女の悲しみのよう。 ただただ、朱色に。傷ついた思いを胸に。 ヘルを探して、歩き回っていると、よく聞いた声が聞こえてきた。 「お前は一体何をやっていたんだぁ!」 思わず体が反応してしまう。 散々学校で聞きなれた声。 その正体は、担任だった。 何で担任がこんなところに! 思わず身を隠してしまったエル。
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