うのうぇn。貴方は何の為に?

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ものすっっっっごく意外そうな表情をして、カレナはそう言った。表情は何処と無く引き攣っているようにも見える。 流石に、カレナでも引くくらいに豪胆な担任に、弟が居るとは思えないだろう。 「おいおい、そこまで意外そうな顔をしないでくれ。私にだって兄弟の一人くらいは居るさ」 「最悪の姉だけどな」 ぼそりとヴァンが呟くと、担任はその頭を小突いてやる。 「ッてェ……んだよ! 本当の事を言っただけじゃねえか!」 「こんな誇らしい姉を持ってどの口がそれを言うか!」 「実の姉に何度も殺されかけりゃ、嫌でもそうなるわ!」 どうしてもヴァンに共感できてしまうカレナが居る。 カレナも一度、死闘をしたことがあるのだ。模擬戦と言う名の死闘を。 あの時は本当に殺されるかと思ったのだ。 「まぁまぁ、そういえば先生の本名って何でしたっけ。いつも先生って呼んでましたから、忘れちゃって」 「ん? ああ、そういえば春先に一度自己紹介をしたきり、一度も名前で呼ばれたことが無かったなぁ」 「ファミリーネームは覚えてるんですが」 とりあえず、はったりを言っておく。担任の名前を忘れてしまうなんて事をしてしまえば、後が怖い。 「まぁ、いいわ。私の名前は……」 「セレナ・リコ。全くこんなゴリラみたいな女に、なんて可愛らしい名前をつけたんだ。両親は」 「可愛らしいって言ってくれてどうもありがとう!」 首を羽交い絞めにして、思い切り頭に拳をぐりぐりと押し付けてやる。
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