7442人が本棚に入れています
本棚に追加
人は、特に女性は見た目で判断できないのだ。
判断していると痛い目を見る。
「確かにそうだけど……何で転校してきたの?」
「仕事よ。仕事。そうじゃなかったらこんな乳臭くて、居心地の悪い場所に来ますか」
煩わしそうにエルは髪を振りほどきながら言う。
血飛沫でべっとりだ。「うへぇ、気持ち悪い」
「そういえば、貴方は一体なんでクルドの事……」
「ファイに聞いたのよ。この学校の校長に問い尋ねる心算だったのだけど」
「校長? ああ、そういえばこの学校はウルドが学校長だったわね」
「そうよ。今回の依頼は彼女から極秘に来たものだった。ファイ達も一緒。あの糞女から間接的に依頼を受けたのよ」
「糞女って、まさかあのカレイネルの?」
「あら、糞女を糞女って言って何か悪いかしら」
見た目は女でも中身はリオンなので彼女に対しての憎しみは相変わらずだ。
「あっはっはは! まさか天下のカレイネルに向かって、糞女なんてな」
豪快に大口を開いて笑うセレナ。
相変わらず弟を羽交い絞めしたままだ。
「そろそろ離せ!」
姉の気が逸れている内に抜け出すヴァン。
頭だけでなく、随分と首を痛めたらしく顔をしかめながら首をさする。
「ファイって、あのクロノ・デルシオンの息子か?」
「お前、知っているのか?」
「知っているも何も、俺の教え子だっての」
「あら、奇遇ね。私の教え子でもあるのよ」
「つまり……ああそうか。そういう事か。どうりで……」
最初のコメントを投稿しよう!