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それどころか、リオンは逆に少年へ言葉を返す。
「へー、そりゃよかったじゃん。出席日数の問題が無くなって」
それを聞いた少年の眉間の皺は、より一層深くなる。
「何がいいものですか! 全く、貴方と来たら宿題をしっかりと終わらせてきたと思えば、学校の初日から授業をサボってばかり。少しは学生の本分とやらを考えてみたらどうなんですか」
溜息を吐きながら、少年は言う。
夏休みの膨大な宿題はとりあえずの所、提出を終えているのだが、それ以降リオンは教室に顔も出していない。
「だから、魔法の使えない、運動音痴の俺が授業に出たって無意味だろう?」
「誰が、そんな事にしたんですかねぇ? そんな面倒な事に」
「俺だけど」
「さらっと言わんで下さい」
額に手を当てて、少年は言う。
このリオンという少年、学校では初級魔法が五回しか使えない上に、体術もてんでだめ、学力もいつも赤点ぎりぎりという、落ちこぼれ生徒として通っているのだ。
更に言えば、リオンは授業にすら出ない、不良学生と言う事になる。
喧嘩も弱い、魔術も出来ない、勉強も出来ない。
そんな「落ちこぼれ」を絵にかいたような少年が、この王立ユーレリウル魔法学院高等部での彼だ。
「全く、そんな事をいつまでやっているつもりなんですか」
溜息混じりに答えが分かっている質問をしてみる。
「俺が飽きるまで」
ですよねぇ……、ときっぱり言い切るリオンに、疲れたようにうなだれる。
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