小さな小さな子犬ちゃん

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普段は結構、行儀良く食べるファイなので、余計に笑いがこみ上げてくる。 「まぁ、塩鮭は保存が利くからな。早めに生ものを処分して、朝飯にでも使えば良いさ」 そういうと、リオンは部屋を出ようとする。 「あれ、どこかに用でもあるんですか?」 「ああ、まあな。カレナたちにも一尾ずつ分けてやろうかと思ってな」 「結構貰ったんですね」 「まぁな。本当に大量だよ。流石に幾ら鮭好きのお前でも処分出来ないくらいにな」 どこからそれだけの量を貰ってきたのかは不明だが、とりあえずファイはこれといって言及せずに貰っておくことにした。 「ありがとうございます!」 そういうと、すぐさま塩鮭を台所のほうへ持っていく。 「じゃあな、せいぜいアレルギーにならないように」 「煩いですよ。好きな物でアレルギーになった日には天地がひっくり返りますよ」 それもそうだな、とリオンは笑うと部屋から出て行った。 他に塩鮭を持っていなかったが、どうせ部屋は隣なので一度戻ってから行くことにしたのだろう。 塩鮭は思っていたよりも大きくて、重いから。まとめて持ち運び辛いのだろう。 実に満喫した気分で食事を終えると、完全に空っぽになってしまった器をファイは台所へ運ぶ。 明日の朝が本当に楽しみだ。 生の部分はムニエルにでもしたら美味しいだろう。 あれは手が掛からないわりに、なかなか美味しい調理法だから。レモンをかけても良いだろう。 とまぁ、そんなほくほくな気分でいた時、チャイムが鳴り響いた。 誰だろうか、と疑問に思いながら、洗い物の手を止めて、扉へと向かう。 リオンはついさっき帰ったばかりだし、一体誰が来たのだろうか? このときファイは嫌な予感がしていたのだ。 こういった風に来客が短時間に立て続けてあると、非常に嫌な予感しかしない。 というか、良いことがあったためしが無いのだ。 「はーい、どちらさんですか」 言いながら、扉を開けるファイ。 ここは学生寮なので、基本的に生徒だけしかいないから、そこまで警戒する必要性が無いのだ。 教師に対して警戒する必要性は若干あるが。滅多な事じゃこないので、殆ど安心してて良い。
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