小さな小さな子犬ちゃん

12/45
前へ
/617ページ
次へ
期待を裏切らない反応をどうもありがとう。 というか、仮に二人に子供がいたとしたら、一体二人は何歳のときにやって子供が生まれたのか、ってことになる。 どう見たって、この少年小学生以下だ。 「……まぁ、冗談はこのくらいにして」 「おい、俺の目を見て言え。この鈍感男」 「その子は本当にどうしたんだ? お前の兄弟にしては、随分とちっちゃいけど」 「俺は一人っ子だ」 「じゃあ、余計に誰なんだよ。ピアナの兄弟な訳もないし」 「……拾ったんだよ」 「は?」自分の耳を疑うファイ。 「拾ったんだよ。帰り道で一人ぽつんとしていたから」 「おいおい、それって……」 あきれて物もいえない。 結局の所は誘拐と何にも変わらないではないか。 「いや! 違うって! 俺だって最初は交番に行こうとしたさ!」 「だったらどうしてこうなった!」 「んなもん俺が聞きてぇよ。家を聞いてもわかんねぇっていうし交番警察行こうつっても嫌って首振るだけだからな」 そのままじゃどうしようも無いので、ここにつれて帰ってきたって言うらしい。 因みに親の事を聞いてもだんまりだそうだ。 流石のファイも困った表情で男の子の顔を見る。 そういえば室内だって言うのに、帽子を深々と被っているが、どうかしたのだろうか? 「君。君は一体どこから来たの?」 ファイはその子の顔を覗き込みながら尋ねる。 黙って首を振る。 「名前はなんていうの?」 「……ジェン」 「ファミリーネームは?」 「……」 まただんまりだ。一体何を隠しているんだろうか。
/617ページ

最初のコメントを投稿しよう!

7442人が本棚に入れています
本棚に追加