小さな小さな子犬ちゃん

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ぴんと立った二つの可愛らしい犬耳だった。 頬を赤らめてうつむいている姿にプラスして犬の耳は反則に近い。 可愛すぎる。 時々、犬の耳がぴくんぴくんと動くのがまたなんとも。 「うん、やっぱり可愛いね。よく勇気を出してくれたね。有難う」 リオンはまた頭を撫でてやる。すると、くすぐったそうにしながら、ジェンが笑ったのだ。 「おおぅ」珍しく柄にもないうなり声を上げてしまうファイ。 流石にこれには驚いた。 ワルキとピアナも唖然としている。 「じゅ、獣人? 何で、獣人がここに?」 ワルキの口から疑問が当然のことながら飛び出る。 「いや、おいおい。授業で習わなかったのかよ」 ファイはじっとジェンのことを見つめながらそういう。 確かに、隣国にはかつて戦争をした国の他にも、いくつか国が隣接している。 そのうちの一つが、獣人の国だ。 文明レベルはそう変わらないが、魔法がどちらかといえば苦手で、身体能力の方に秀でている。 因みに、獣人といっても、そこまで人間と大差はなく、せいぜい猫耳だとか犬耳だとか、ウサ耳だとかが頭の上からぴょこんと生えている程度でしかない。 あと尻尾も生えている。まぁ、何故か翼だけはないのだが。 何処をどう間違ったら進化の過程で、翼を失くすなんて選択をしたのだろうか。 猫耳だとか、そんな非常に無意味なものだけは残っているのに。生命の神秘だ。 この他にもエルフの国などが存在している。当然、それぞれが混ざり合った国も。 「いや、そうだけどさ。実際前の戦争のときも同盟は結んでいなかったし……」 ワルキは戸惑いながらもそういう。 確かに、前回の戦争では同盟を結ぼうともしなかった。 これは当時の国王が、獣人のような穢れた奴らの手は借りん、と言った所為だ。 実に愚かしい頭の持ち主だった事はわかるだろう。 その所為か、このキホリア国は只の人間だけが住んでいる国となっているのだ。 更には獣人を排除しようという運動も存在している。 まあ、良くある話だ。馬鹿馬鹿しい。
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