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「いや、リオン様も別にそんな事を感じている訳じゃないと思うんだけど……」
むしろ、面白がってやっているだけだろ、と内心で付け足しておく。
「とはいっても、俺も気になる事は気になるからなぁ……」
「やっぱりファイも気になるんだ」
「そりゃあね。同年代どころか、恋愛そのものに興味が無いと思っていたからなぁ」
「恋愛には興味が無い?」
「まぁ、ね。それどころか女性に興味が無いのかもしれない。性欲、と言うかそんなものが少ないのかもな」
「只のムッツリスケベじゃないの?」
「分からん。美女と晩酌する事は好きらしいが」
「やっぱり只のムッツリね」
「いや、使い魔だし」
「じゃあロリコン」
「いやロウとは呑まないだろ」
使い魔、と言うのは春先に合った使い魔召喚の際に呼び出された、獣などである。
リオンは死神ヘルと幼い竜を使い魔にしたのだ。
本来、使い魔は一人につき一体が原則だが、ちょっとしたアクシデントがあって、その際に子竜のロウを使い魔にしたのだ。
ヘルは普段、神である事を悟られないように黒猫の姿をとっている。だが、その実は絶世の美女。
因みに、委員長が親戚と勘違いしているのが、彼女である。
そして、ロウ。つい最近になって分かった事であるが、五歳児位の姿になる事が判明したのだ。
その可愛さたるや、カレナが悶えるほどだ。
「じゃあ、なんて言えばいいのよ」
「多分……いや、なんでも無い」
「何よ気になるわね」
「いや、もう考えるのが面倒くさくなった。あの人の事を一々考えていたら、気が滅入る」
溜息を吐きながら言うファイ。
彼が今言いかけた言葉それは、『多分、人間らしさをつくっているんだろ』と、そう言おうとしたのだ。
それは確実に核心に迫る言葉であり、尚且追求されれば言い逃れの厳しいものだ。
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