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自分こそ最高の種族であると信じきっているのだろうか。
まぁ、そのあたりに興味はない。今のところは。どうせ、天界だとか魔界だとかであった話みたくにならなければいい。
「そんな前時代的な発想は放っておけ。あの人から話は聞いていたからな」
ワルキにそういっておく。あの王のことは本当に面白かった。
お陰でこちらも十二分に動く理由が出来たのだが。
「ですが、友好条約が結ばれていない国から……」
「知らなかった、ということもありうるだろう。流石にこの国の外に出ると俺もあまり物を知らないからな」
流石に他国の内情までは詳しくはない。
特にここ最近の事に関しては全く知らない。
「あの国で一体何が起きているのやら……」
溜息を吐きながらリオンは愚痴をもらす。少し、探りを入れる必要性があるだろう。
まぁ、それよりも今はこの状況を楽しまなければ。
「まぁ、今日考えるのはやめよう。今回の件に関してはおいおい詳しく本人から話を聞こう。疲れているだろうしな」
リオンはそういうとこれ以上の追求を諦める。
流石に今日知り合った見ず知らずの男たちに、心を開くはずもない。
本人の機嫌というものもある。
さし当たっての問題は……。
「誰がこの子の面倒を見るかだ」
そう、それが問題だ。
基本的に寮はワンルームだ。それに調理場、システムバスがくっついている状態に過ぎない。
思っているよりも広くないのだ。
ベッドなんて一つしか置けない。
後は、テーブルが占拠してしまう。
「ここはリオンが良いと思うんだが」
先程までのリオンの行動を見ていて、ワルキは普通にそういう。
「おいおい、冗談言うなよ。俺にはロウとヘルがいるんだぞ」
「いや、お前が一番適任だと思うんだが」
「冗談だろ。こういったことは本人に決めさせるほうが早い」
リオンはそういうと、ジェンに尋ねる。
「今日は誰と一緒にいたい? 生憎と俺たちは一人一部屋だから」
それを聞いたジェンは意味を理解していたらしく、すぐに立ち上がってワルキのそばに行く。
「僕は、この人のところが良い」
服を掴んではっきりと彼は言った。その人物は言わずもがな、ワルキであった。
「え、俺?」
あまりにも意外な展開に、きょとんとして自分を指差してまた問う。
ジェンはワルキの目を見て、首を縦に振った。
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