小さな小さな子犬ちゃん

18/45
前へ
/617ページ
次へ
自分こそ最高の種族であると信じきっているのだろうか。 まぁ、そのあたりに興味はない。今のところは。どうせ、天界だとか魔界だとかであった話みたくにならなければいい。 「そんな前時代的な発想は放っておけ。あの人から話は聞いていたからな」 ワルキにそういっておく。あの王のことは本当に面白かった。 お陰でこちらも十二分に動く理由が出来たのだが。 「ですが、友好条約が結ばれていない国から……」 「知らなかった、ということもありうるだろう。流石にこの国の外に出ると俺もあまり物を知らないからな」 流石に他国の内情までは詳しくはない。 特にここ最近の事に関しては全く知らない。 「あの国で一体何が起きているのやら……」 溜息を吐きながらリオンは愚痴をもらす。少し、探りを入れる必要性があるだろう。 まぁ、それよりも今はこの状況を楽しまなければ。 「まぁ、今日考えるのはやめよう。今回の件に関してはおいおい詳しく本人から話を聞こう。疲れているだろうしな」 リオンはそういうとこれ以上の追求を諦める。 流石に今日知り合った見ず知らずの男たちに、心を開くはずもない。 本人の機嫌というものもある。 さし当たっての問題は……。 「誰がこの子の面倒を見るかだ」 そう、それが問題だ。 基本的に寮はワンルームだ。それに調理場、システムバスがくっついている状態に過ぎない。 思っているよりも広くないのだ。 ベッドなんて一つしか置けない。 後は、テーブルが占拠してしまう。 「ここはリオンが良いと思うんだが」 先程までのリオンの行動を見ていて、ワルキは普通にそういう。 「おいおい、冗談言うなよ。俺にはロウとヘルがいるんだぞ」 「いや、お前が一番適任だと思うんだが」 「冗談だろ。こういったことは本人に決めさせるほうが早い」 リオンはそういうと、ジェンに尋ねる。 「今日は誰と一緒にいたい? 生憎と俺たちは一人一部屋だから」 それを聞いたジェンは意味を理解していたらしく、すぐに立ち上がってワルキのそばに行く。 「僕は、この人のところが良い」 服を掴んではっきりと彼は言った。その人物は言わずもがな、ワルキであった。 「え、俺?」 あまりにも意外な展開に、きょとんとして自分を指差してまた問う。 ジェンはワルキの目を見て、首を縦に振った。
/617ページ

最初のコメントを投稿しよう!

7442人が本棚に入れています
本棚に追加