小さな小さな子犬ちゃん

21/45
前へ
/617ページ
次へ
そろそろ帰りたいのだ。この場を離れて、少し調べたいこともある。 「それじゃあ、ワルキ。頑張ってくれ。ヘル、後は頼んだ」 そう言い残すとリオンはファイの部屋から出て行った。 「さて、それでは私もこの辺りで失礼させて頂きます。ワルキさん、貴方もいつまでもここにいるわけにも行かないでしょう?」 ピアナはそうワルキを促して、ファイの部屋から出て行った。 「ファイ……恨むぞ畜生」 去り際にワルキは恨み言の一つも漏らしてから出て行った。 当然、ヘルとロウも一緒だ。 「さて、これからどうしたもんだろうかねぇ……」 「どうしたもこうしたも、お前の部屋に行く以外に何かあるのか?」 ヘルはつっけんどんにそう言い放つ。 ロウとジェンは何やら意気投合したらしく、二人で何か変な遊びをしている。 「いやそりゃそうだがよ。飯がねぇんだ。食いもんが」 「買ってくれば良いではないか」 こともなげに言ってくれるとワルキは溜息を吐く。 「その金がねぇんだよ。お前ら見たく、金持ちじゃねえんだよ、俺は」 「ギルドで稼ぐという手段はないのか?」 「学業と平行してそれをするのは滅茶苦茶厳しいぜ? 貴族の連中にはわからん苦しみだろうがなぁ」 一人溜息を吐くワルキ。 とはいっても、食い物は調達してこなければならない。 今ある量では流石に足りない。 「やれやれ、私とロウの分も足したら結構な量になるだろうからな。仕方ない、買いに行くぞ」 「金はどうするんだ」 そもそも、金がないから困っているんだ。 「私がいくらか持っている。それで何とかなるだろ」
/617ページ

最初のコメントを投稿しよう!

7442人が本棚に入れています
本棚に追加