小さな小さな子犬ちゃん

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翌日。 朝日が昇るのも随分と遅くなって、随分とたった。 冷える部屋の中、腹にのしかかる重い感覚に、早々と目が覚めてしまった。 寝起きでぼんやりするが、頭だけを動かして、腹の上に乗っかっているものをみる。 竜だ。小さな竜、リオンの使い魔ロウだ。 そういえば昨日は部屋に来ていたんだ。 「ぅ……ん……」 小さな寝言に彼は自分の腕にしがみついて寝ている子に、視線が行く。 犬耳に尻尾がついた獣人の少年だ。 寝ている間にも何度かぴくぴくと動いている。 「おやおや、もう起きたのか随分とお目覚めの早いことだな」 人の容貌をした黒猫が話しかけてくる。 「お前は早すぎるだろ」 「何を言う。料理を作るならこのくらいに起きなければ」 「おいおい、朝飯を食わない男に向かって何を言う」 「不健康だな。まぁ、私たちがいる間はそんな事は無いから安心しろ」 「それはありがたいな」 苦笑して起き上がるワルキ。 しっかりと自分の寝間着を掴んでいるジェンを起こさないようにして、ワルキは起き上がる。 ロウは思っているよりも深く寝ているらしい。抱きかかえてベッドに戻してやっても起きなかった。 中々、乱暴だったとは思うのだが。 「顔でも洗って来い」 彼女のその言葉に甘えて、ワルキは洗面所へ向かう。 季節柄、冷たい水を手のひらで掬ってばしゃばしゃと顔に打ち付ける。 それだけでやたらと目が覚める。 眠気は飛んでしまうのだが、それでもやはり欠伸は出てしまう。
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