小さな小さな子犬ちゃん

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リオンといったら、ことごとくワルキの使い魔に用があるといっているのだ。 夏休みのときは特にそうだ。 ガルナに一体何の用があるというのだろうか。 「一体何の用があるんだよ」 「いやな、今日はお前もいないだろう? ヘルに二人の面倒を頼みたいんだが、それだけでも若干不安だ。それで、思いついたんだが、犬がいると中々良いと思わないか?」 「……いや、何処の家庭だよ。ここはペット禁止だったはずだぞ」 「ペットじゃなくて、使い魔だから良いんだよ。使い魔ってのは、ファミリアと言って家族とかそんな意味があるんだからな」 「まぁ、構わんがよ。俺の魔力がもたねぇぞ」 当然だった。使い魔を召喚し続けるだけでも、多大な魔力を消費する。 一日中召喚出来るのはおかしいのだ。特に高校一年生で。 因みにリオンが一日中召喚していることに誰も突っ込まないのは、なんとなくそれが自然に見えるからである。 崩天のルシフェルの弟子という事を知っている面々は、それを理由にしている。 やはり、弟子と言う立場は何でもありだ。 「そのために俺がいるんだよ」 リオンはにやりと笑ってそういうと、早くガルナを呼び出すように急かす。 何処か腑に落ちない所があるが、断って面倒な事になるよりはましだろう。 そう判断して、彼はガルナを呼び出した。 幾何学的な魔方陣が描かれ、そこから一匹の狼が現れた。 「……何の用だ」 呼び出された狼は、無愛想にそういう。 それをみた子供たち二人が目を輝かせた。「わぁ、犬さんだ!」 このガルナは召喚した当初からやたらと無愛想だった。 日々、スキンシップを取ろうとしても、中々懐いてくれない上に、魔力消費量も馬鹿にならないので、最近は呼び出していなかった。 しかし、この狼はまさに一匹狼、と表現するに相応しい性格をしている。 「いや、夏休みの時と一緒でな。俺じゃなくて、こいつがな」 ワルキは親指でリオンの事を指して言う。
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