小さな小さな子犬ちゃん

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「よう、ちょっとばかり相談があってな」 「用件は何だ」 「そうカリカリするなよ。あそこに子供が二人いるだろあいつらの護衛を頼みたいんだ」 「必要なのか?」 「必要必要。色々あるからね。保険ってのは必要なのさ」 「あそこにいるのはお前の使い魔だろう。死神と竜。護衛にはこれ以上必要ないように思えるが?」 人型の竜とは言え、その身体能力は元のままだ。竜の皮膚の固さ、腕力、幼いとは言ってもどちらも十分だろう。 加えて、ヘルがいる。彼女は神様だ。死を司る神様である。 当然、その戦闘能力は分かりやすくしてギルドランクS以上だろう。 彼女を力で屈服させることが出来る人間も珍しい。 「それでも必要なのさ。転移魔法なんて不安定なものを使う訳にもいかないからな」 リオンが苦笑しながらそういうと、ガルナはようやく意味を理解したらしい。 「成程、俺を足に使おうと」 「ま、そういう事だ」 「猫と小さな竜では、あの子供を背負うのは無理だろうから、か」 「それに退屈しないように遊び相手が欲しいのさ」 「犬になれと」 「良いだろう? 似たようなもんだし」 「全く違う、と言いたいところだが仕方あるまい。だが、魔力の問題はどうするつもりだ」 そこが一番の問題だ。 こうしている間にも、ワルキの魔力はどんどんとガルナに吸い取られて行っている。 「そこは俺がカバーするわけよ」 「どうやって」 「ふっふっふ、ジャジャーン!」 何やら妙な笑いを浮かべて懐から取り出したのは、一つの首輪だった。 正直なところ、見た目は地味だ。そこら辺にある、普通の首輪にしか見えない。 「こいつはな、一時的にお前の契約者に俺を加える代物だ」 「ちょい待ち。だったら俺はどうなるんだ」 同時に二人以上の主人を持つなんて聞いたことがない。
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