小さな小さな子犬ちゃん

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「一時的に、魔力供給の路線が俺に切り替わるだけだ。主導権はお前のまま」 「良かったぜ……まさか一時的に俺の使い魔から外れるとか言われたときにはどうしようかと思った」 「ほう、なんだかんだで気に入っているんだな」 リオンがニヤニヤとワルキをみる。 ワルキは仲良くなろうとするのだが、中々ガルナが折れてくれない。 無人島の時は随分と指示通りに動いてくれたから、主人として認めていないわけではないみたいだが。 「ま、ともかくこいつをつけとけ」 リオンは半ば強引に、首輪をつける。 「どうだ、少しは楽になっただろう」 つけた後にリオンはそう尋ねてきた。 確かに、魔力の供給が止まった感覚はある。 ワルキは黙ったまま頷く。 「よし、それじゃ俺はこの辺で帰るぜ。今日は学校を休むし」 「おいおい、待てよ。またファイが困るじゃねぇか」 「仕事だよ。あの人の付き添い」 ワルキが堂々とサボると言っている不良生徒に向かって言ったが、彼は軽く振り向いて笑うと、出て行った。 彼の言う、あの人の付き添いと言うと結局は崩天のルシフェルと言うことになる。 何の用があるのやら。 「まぁ良いか……」 一人呟くと時間はそろそろ登校するには最適な時間となっていた。 着替えて学校に行く準備をしなければ。 彼はそう思い、スウェットから制服に着替える。 食事を終えた子供たちは、もうガルナに夢中だ。 やれやれ、子供ってどうしてこんなに動物が好きなんだろうか。 そんなことを考えながら、鞄を片手に部屋を出て行った。 「いってらっしゃーい」 その際にロウの声が聞こえて、思わず赤面してしまったのは、彼一人だけの秘密である。
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