小さな小さな子犬ちゃん

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いつもよりもほんの少しだけ早く学校に到着する。 当然ながら珍しがったファイが話しかけてくる。 この時に重要なのが、彼は一切心配をしていないと言うことだ。 実に腹立たしい。 だがしかし、普段ワルキがやっている事が自分に返ってきているだけだ。 普段の彼もこんな感じである。 特にカレナのことに関しては。 「おはよう、ワルキ。今日は随分とお早い登校だねぇ。普段は遅刻ギリギリなのにね」 いやぁな笑みを顔に貼り付けてファイはそういう。 肌が何やらつやつやしているようにも見える。どうやら、かなり面白がっているみたいだ。 「やかましい。腹と腕に違和感があって、寝心地が良い訳だろ」 いま、ワルキはものすごく殴りたい気持ちと戦っている。 まさか見世物にされるとは思いもしなかった。 「またまたぁ。本当は寝る前に絵本とか読んであげたんでしょ?」 言葉に詰まった。 まさかの発言だった。 ファイのこの発言は、明確にワルキの図星を貫いてしまった。 早起きの理由は、ワルキが寝る前に本を二人に読んであげて、その後に自分も寝たからだ。 普段はもっと遅くまで、漫画を読んだり、テレビを見ていたり、筋トレをして過ごしているのだが。 「お前は気楽で良いなぁ」 「気楽になったんだよ。いやあ、大変だねぇ」 「なら変われ」 「それは無理な相談だ。頑張ってくれたまえ。お兄さん」 「頼む、一発殴らせろ」 「嫌だね」 「痛くしないから」 「やだ変態発言」 「お前のベッドの下にあるもん、カレナに教えてやろうか」 「本棚の奥底にあるビデオのタイトル、ピアナの前で暴露してやろうか?」 互いににらみ合いが続く。
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